週刊リング

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☆モン太郎と週刊ゴングと. Vol.1

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このコーナーは、「有田と週刊プロレスと」をパクっております。週刊ゴングの表紙を見て、その出来事について語るコーナーです。

 

■世紀の一戦。ミスタープロレス対決を制した武藤。天龍源一郎の背に見えた夢とはー

1999年5月3日、福岡国際センター。私のプロレス史でも5本の指に入るであろう名勝負が新日本プロレスで繰り広げられた。

IWGPヘビー級選手権試合 <王者>武藤敬司vs<挑戦者>天龍源一郎

この先、新日本・全日本の至宝を賭けて幾度も闘うことになる両者。その初めてのシングルマッチは、プロレス大賞年間ベストバウトとなり、多くのファン達が語り継ぐ程の名作となった。

 

●歴史的名勝負。2人は何故ミスタープロレスなのか?

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当時、外敵・フリーの立場として新日本を主戦場としていた天龍。(今思えば、かつて全日本プロレスのトップレスラーだった天龍が新日本に上がっていること自体が贅沢)

唯一、ジャイアント馬場アントニオ猪木の両雄からフォールをとったことで、ミスタープロレスと称されるこの男が、遂に新日本の頂点IWGPベルトへの挑戦権を掴んだ。

相手は生まれながらの天才・NaturalBornMaster、武藤敬司この男もまた、自身をミスタープロレスと公言していた。この前の防衛戦では、挑戦者ドン・フライを下している武藤。プロレスラーというより総合格闘家の色が強いドン・フライに対し、ムーンサルトプレスや足4の字固めというTHEプロレス技で応戦し、最後は腕ひしぎ逆十字固めで勝利した。その戦前、武藤は「ドン・フライとの試合は、プロレスを守るための闘いになる」とコメントした。もはや伝説である数年前のUWFとの対抗戦、メインで高田延彦相手にプロレスを守った武藤の発言だからこそ、重みが増す。高田、フライを相手にプロレスを守り、常日頃プロレス愛を口にする武藤が、「俺がミスタープロレス」と自らを称しても何の異論もない。

正に【平成のミスタープロレスvs昭和のミスタープロレス、ベルト以外にミスタープロレスの称号をも賭けた試合となった。

 

●死闘の先に武藤が見たものとは?

試合は、想像以上の激闘だった。私の記憶では、天龍が雪崩式フランケンシュタイナーを初披露したのは、この試合だったように思う。(※慣れない技なので天龍も頭から落ちてしまった。その後、犬のように頭をブルブルするチャーミングな天龍を何度も巻き戻して見てた。)

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普段、武骨で漢臭いプロレスをする天龍だが、その引き出しは広くて深かった。やろうと思えば何でもできるんだぞ、という天龍の意思を感じたものだ。かつて天龍の付き人を勤めていた石井智弘も、その点はそっくり継承している。

敗北寸前まで追い込まれた武藤だが、最後は伝家の宝刀・ムーンサルトプレス...というよりは胸板にドカッと食い込んだムーンサルトダブルニーでミスタープロレス対決を締め括った。

死闘を制した武藤は「試合しながらさ、天龍源一郎の背後に三沢と小橋が見えたよ」とコメントした。

 

●全日本トップとなった三沢。 夢の架け橋、着工準備?

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その激闘の前日、全日本プロレスが【ジャイアント馬場引退記念大会】を東京ドームで開催した。第6試合では、生涯現役を貫いたまま亡くなられたジャイアント馬場引退試合を開催。ドームの大観衆が涙したことは想像に難くない。そんな伝説ともなった興行のメインは、三冠ヘビー級選手権試合<王者>ビッグバン・ベイダーvs<挑戦者>三沢光晴

全日本のエース・三沢が、渾身のランニングエルボーでベイダーを下し、新三冠王者となった。

また、この試合の少し前だったと記憶しているが、三沢は全日本の社長に就任している。選手としてだけでなく、あらゆる面で三沢は全日本のトップとなったのだ。

ジャイアント馬場が存命していた頃、全日本と新日本の関係性は決して良くはなかった。王道プロレスを突き進む全日本・馬場に対し、ありとあらゆる仕掛けを繰り出す新日本・猪木は邪道に思えたのだろう。猪木と絡むことがデメリットであると馬場は判断したのか、団体間の交流は皆無に等しかった。

しかし、馬場がこの世を去り、三沢が社長に就任したことで、夢の懸け橋のハードルがほんの少し下がった。これまでの全日本の良さは残しつつ、全日本を変えていく姿勢を示していた三沢だからこそ、いずれ新日本との対抗戦に前向きな姿勢をとるのではないかと期待したファンも少なくはなかったと思う。

 

 

 

そんなタイミングでの武藤の「三沢と小橋が見えた」という発言。ファンの夢は膨らむばかりである。

他団体交流が活発な今、この夢の大きさが今一つ理解できない人もいるかもしれないので、今の時代で置き換えてみる。オカダvsジェリコでオカダが勝利→「ジェリコさんの先に、セス・ロリンズローマン・レインズが見えました」とオカダがコメントする、というほど夢のあるコメントだった。

結局、武藤vs三沢、武藤vs小橋のシングル対決は実現しなかった。この時、私たちプロレスファンの見た夢は今も夢のままだ。

しかし、夢が夢であり続けることも悪くない。その方が、夢が無限に広がる。今でも、たまに妄想試合を組んでは楽しませてもらっている。あぁ、プロレスっていいな。