No.10-⑴ ☆絶対王者・宮原健斗の次期挑戦者は⁉︎
■邂逅の時はきた⁉ 絶対王者vs四冠王者は実現するのか。
5月20日、全日本プロレスの三冠王座戦。【王者・宮原健斗】が【最強挑戦者・石川修司】相手に見事防衛を果たした。チャンピオンカーニバル2019(CC2019)で石川修司に敗北を喫していた宮原は、これで雪辱を果たしたことになる。CC2019では他にもゼウス、ギアニー・ヴァレッタ相手にも星を落とした宮原だったが、三冠王者でありながらCC2019を制し絶対王者となった現在、最早団体内に敵なしといっても過言ではない。
そんな宮原の次の防衛相手となると、なかなか相応しい相手が見つからない。誰が名乗りを挙げるのか、ファンとしては団体外に目を向けたくなるところだ。そこで、私が目を付けたのは、【剛腕・小島聡】だった。
□宮原と小島の闘いは、新・旧の全日本エース対決である。
私が小島聡に注目したのにはいくつかの理由がある。
理由その1!
まず、小島聡の現在の標的が【全日本プロレス社長・秋山準】であることだ。
ジャイアント馬場没20年追善興行にて、6人タッグで秋山準との初対戦を果たした小島。昔の話だが、新日本の第3世代【天山・小島・中西・永田】らと、当時全日本の【秋山・大森・高山】は、団体は違えどほぼ同世代として比較されてきた。その後、他団体交流が活発になり、彼らが試合でぶつかる事も多くあったが、そんな中で唯一対戦がない組合せが小島と秋山だったのだ。小島は、この時を待ちわびていたのか、試合後には一方的に再戦の意思を示した。しかし、当の秋山本人はそれを意に介さずといった反応。この対戦が実現するかどうかは、小島が秋山をどう振り向かすかにかかっている。
仮に実現し、且つ小島が秋山相手に勝利した場合を想像してほしい。目をつぶって想像してほしい。三冠王者・宮原健人の姿が見えてこないだろうか。宮原からか、小島からかは分からないが、お互い興味を示してもおかしくないと私は思うのだ。
理由その2!
次の理由は、小島聡が元・全日本であるということだ。しかも三冠王座とIWGP王座を同時に戴冠した史上唯一の四冠王者である。
そんな小島は、言うなれば過去の全日本の象徴。この対戦構図は実に面白いではないか。
全日本プロレスの歴史とは、馬場全日本→武藤全日本→秋山全日本(現在)となっており、秋山全日本の中心にいるのが宮原健斗である。小島が武藤全日本の中心だったかは疑問だが、確かにエース格であり、また全日本で一時代を築いたことは間違いない。そんな小島が、秋山全日本のエース・宮原と対戦することは大きな意味がある。
以前、新日本で【挑戦者・棚橋弘至】が【IWGP王者・武藤敬司】に勝利したことで、棚橋が自他共に認める新日本の象徴となった歴史がある。それまでの棚橋は、過去の新日本ファンからは異質な存在と思われていたが、その1戦を機にファンの見る目は少しずつ変わっていったように思う。それは、新日本の過去の象徴であった武藤を越えたことが大きな理由だろう。
基本的に、全日本ファンは新日本ファンよりも暖かくて優しい。ファンの質を例えれば、新日本がスパイスカレーなら、全日本はクリームシチューだ。だから、以前の棚橋のように宮原を異質な存在として見る全日本ファンは多くないと思う。団体自体が、武藤全日本時代から一新していることも、その大きな理由だ。武藤時代からの在籍は諏訪魔と渕のみ。過去と比べようのない全日本を新たに創造したのだから、これはもうハンパないって。秋山全日本、ハンパないって。
だから、無理に過去と戦う必要はないのだが、あえて理由付けをしてみる。小島の三冠王者としての防衛記録は8回(2位タイ)、第55代王者だったころの宮原の防衛回数と並んでいる。ちなみに防衛記録1位は10回の川田。事実上引退しているといってもよさそうな川田相手に、宮原が戦うことは今後ないだろう。棚橋が武藤と対戦したのと同様、過去の全日本の象徴として対戦実現可能な唯一の存在、それが小島聡なのだ。
実現すれば、それは【新・旧 全日本エース対決】となり、絶対王者となった宮原の防衛相手として文句ナシである。
意外と計算深い小島のことだ。秋山の名前を出したのも、その背後にいる宮原を意識したのかもしれない。
だがしかし、vs秋山を経ての挑戦となると、スパン的に、小島が挑戦する前に少なくともあと1戦は王座戦がどこかで組まれるだろう。
となれば…
うん。次の防衛相手はヴァレッタしかいない。結局ね。
小島聡が古巣・全日本に参戦するということ、たとえ新生全日本だとしても、それは容易ではない。諏訪魔をはじめ、小島を拒絶する存在もいるだろう。
しかし、実現すれば相当楽しみなカードとなる。
ホーム・新日本では、なかなかチャンスのない小島。その実力は、まだまだ申し分ない。オカダや内藤とやっても、いい勝負すると思う。新日本を見返すほどの力を宮原相手にぶつけてほしいものだ。